神戸新聞まちかど農園

太陽光発電と農業を両立するソーラーシェアリングの畑で収穫した野菜などを販売するスペース「まちかど農園 POSTO」が、宝塚市野上1の阪急逆瀬川駅近くにオープンした。地産地消のランチを提供するカフェや、本を持ち寄る「まちライブラリー」なども備えたコミュニティーの場だ。「食料とともに電力も供給するソーラーシェアリングの良さを多くの人に知ってもらいたい」と店主の西田光彦さん(57)はアピールする。
西田さんは同市内で今年2月に設立された一般社団法人西谷ソーラーシェアリング協会のメンバー。店では市北部の西谷地区で新規就農者柴田邦雄さん(40)が農薬や化学肥料を使わずに育てる野菜を販売する。
西谷では6カ所でソーラーシェアリングが導入され、本年度には3カ所増える予定。サツマイモ作りが楽しめる市民農園や大学生との共同研究も進んでいる。
同地区では担い手不足対策としてソーラーシェアリングを活用。農地所有者は発電で収入を得て、無料で畑を就農希望者に貸し出す仕組みが導入されている。
柴田さんは「遊休農地と農業したい人をつなげる新しい仕組みとしても知ってもらいたい」と語る。
まちかど農園には、仕事や勉強、会議のためのコワーキングスペース(共有オフィス)やスモールオフィスも設け、利用者は西谷の農園も利用できる。「農村と街のつながりの輪を広げる拠点にしていきたい」と西田さんは話している。(辻本一好)
【ソーラーシェアリング】太陽光の6、7割で十分に成長する植物の生理学をもとに開発された技術。過剰な3割の光を発電に生かせるよう、農地の上に市松模様に太陽光パネルを設置し、通常の畑と同様に農作物を生産する。葉物や果物の日焼けを抑えるほか、豆類などは収量と品質が向上するとの報告もある。地球温暖化に対応する技術としても注目されている。

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